2019/5/9に東京ビッグサイトで開催された「AI・業務自動化展」に行ったので、AIに関するセミナー3つについて、以下に示します。
(1)「ビジネスのためのクラウドとAI時代のデータ活用」最新動向 日本IBM 三澤氏
IBMのクラウドの現状と今後を説明しながら、今後どうしていくかを説明していた。オンプレミスとパブリック・クラウドには大きな溝(崖と表現していた)があり、両方をうまく使うには、現状では難しい状態である。
IBMでは、VMWareをクラウドでもサポートすることにより、オンプレミスとクラウドの違いを埋めるようにしたということである。また、クラウド間の違いは、デファクトになりつつあるKubernetesをサポートすることにより、対応していくということである。
これらの戦略により、IBMのWatsonがどの環境でも動作するので、AIサービスの展開が容易になる。また、データセンターも東京に3センター提供し、関西にも今年夏に1センター立ち上がるので、日本の顧客に高速で使いやすい環境を提供する。
AIに関しては、今後、信頼性と透明性が重視されていくので、それらを確認できる仕組みをリリースしていくということであった。
(2)楽天におけるデータとAIによる「個別化時代」への挑戦とCreative AIへの道
楽天 森氏
森氏は楽天技術研究所の所長でもあり、そちらでの研究開発の話が主であった。
AIが一般化してきているので、ユーザの多様化対応ではなく、個別化まで行なえるようになってきている。つまり、ユーザが1億人いれば、1億通りの対応をするということである。
今後は、Creative AIが実用化されていくということで、従来のAIが過去のものを分析して学習するものだったのに対して、データを作ったり、芸術などの創造を行なったりしていくというものである。すでに行われていることとしては、映画の予告編作成、キャプションからの写真作成、ユーザ毎の広告作成などが行なわれている。
また、現状、中国が先行しており、「第二のスプートニク・ショック」とまで言われている。例えば、Alibaba社の自動広告生成システムは1日で4億枚のWEB広告を作成したということである。
(3)AIによるビジネスの可能性 日本マイクロソフト 岡氏
AIが普及してきた理由は、インターネット、クラウドにより、ビッグデータの収集、分析ができるようになったからである。また、精度も人間並みになってきたので、実用に使えるレベルになった。
マイクロソフトでは、人間中心のAIを目指し、すべてのものにAI機能を導入するという方針で進めており、例えば、MS-Officeなら、Powerpointではプレゼン資料の自動生成、Wordでは口述筆記&読み上げ、Excelでは関数を使わなくてもグラフなどの図表生成を行なうことなどが実用化されつつあるということである。
いろいろな会社と共同して開発した事例の発表もあり、Uberでのドライバーの顔認証、マクドナルドでのドライブスルーの音声解析、ロールスロイスでの航空機エンジンの予兆保全などに、AI技術を利用しているということである。
日本企業での例は、エイベックスのライブ来場者分析システム、サマーランドの顔認証によるマーケティング、近大の真鯛養殖の選別などの事例がある。
AIの一般的なユーザとして大切なことは以下の通りである。
1.学習用データの量と質
2.AI導入の敷居は低いが、奥が深いことを理解する
3.現場でスキルがある人と協業する
4.システムを育てるというコンセプトを理解する
5.臨機応変に機能を差し替えられるアーキテクチャにしておく
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